関係性のファン2

私がKinKiを好きになった一番の理由としては、本当に陳腐な表現だけれども「運命性」、これに尽きる。全ての細かな事象が、私の中ではこの「運命性」という言葉だけで語れてしまう。女性は、運命というものに敏感で、そしてそれを追い求める傾向があるから、彼らの必然を運命へと昇華させた売出しの戦略には、見事と言うしかないだろう。この戦略が、彼らを「アイドル」として高みに上り詰めさせ、そして何物にも侵犯されない地位を築き上げる基礎となったことは確かに否めないだろう。これは「勝ち」であり、KinKi Kidsは戦略の「成功品」であったと思う。


ただ、その「成功」が彼らの今後に影を落とすのではないか、という危惧を私は常々持ってきた。彼らは、いつまでも戦略の上に乗ったままで活動できる訳ではない。大人になって、成長する。そして、主張が生まれる。既に二人の志向、特性のベクトルは、確かに違う方向へ向き、走り出しているのだ。しかし、絡まるこの「成功」の大きさ。二人の成長を、この「成功」が阻む恐怖。それらは、既に片鱗を見せ始めている気がする。それは、2人が1人を凌駕する、その瞬間。


そんな時節での、剛さんの発言。私はやはり、あの発言に「思慮が足りなかった」と思っているけれど、それでもあの言葉は、この戦略に乗せられたままのKinKiを求め続ける世間、そしてファンに対しての、一種の訓告であったのかもしれない、と感じた。


二人の変化は、すなわち関係性の変化を意味する。そして、彼らが変化しようとしていく様をファンが受け入れられるようになっていかなければ、その変化に揺すぶられ、ともすれば奈落の悲しみに苛まれ、ファンを脱するという事態にも繋がりかねないと思うのだ。


所謂「オンリーファン」は、彼ら個人の成長・変化を受け止められるだけの十分な余裕がある。その人個人を応援しているのだから、それは当然のこと。しかし、関係性のファンはそうは簡単には行かない。二人の道筋が、従来の戦略というレールの上を進んでいなければ、真の喜びは得られないから。二人の目線が同じでなければ、安心が出来ないから。


変化することは怖い。変化によって生じる軋轢は、想像し得ない規模にまで頒布する可能性がある。しかし、恒常は更に怖い。それは惰性に繋がる。廃れた破滅に繋がる。


今まで、多くのアイドルが解散をし、個々で活動を始め、そして、消えるか残れるかの勝負を仕掛けていった。解散は、言わば致し方ない事象。変化は、時の経過と共に必ず起こるもの。元々、同じ趣向を持ち合わせたメンバーが大人になって組んだグループではないのだし、そもそもその場合でさえ、時の経過と共に志向のズレは生じ、解散へと至る事例は少なくない。子どもの頃に、仕組み作られたグループなら尚更だ。そして例えばの話、解散をした時点で勝負に勝てる可能性が高いのは、個々の個性を認めた「オンリーファン」の存在の強さが多分に影響してくるだろう。ここに、関係性のファンは心が太刀打ちできない。


私はKinKiに解散をして欲しいなどとは決して思っていない。できれば、ずっとこのまま、本当にずっとこのまま、KinKi Kidsでいて欲しい。私にKinKiの奇跡を、このままずっと見せていってもらいたい。でも、その感覚ではダメなのだろう。彼ら個人が本当の意味で「大成」するためには、いつまでも「2人で1つ」では、続けていけない。KinKi Kidsを続けていくにしても、今までの関係性を変化させ、その変化を浸透させ、受け入れさせなければならないのだろう。今はKinKi Kidsにとって、そのもがきの時期なのかもしれない。


私は、例え作られた偶然と運命であったとしても、KinKi Kidsの運命を信じたい甘ちゃんなファンだ。そして、それは実は運命だったんだと、そう言い切れ得る奇跡を、彼らは私たちに見せ続けてきてくれたと信じている。


二人からの言葉が警告にならないうちに、そしてKinKi Kidsが二人でいつまでも存在し続けてもらえるように、ファンは関係性の変化を受け入れていかなければならないのだろう。そして、例え二人の行く末がどうなったとしても、それを受け入れられる二人個人への思いの含有量を増やしておかなければならないだろう。


だから、私は祈ってしまう。最近の二人のKinKiに対する、そしてお互いに対するスタンスの変化についていけなくなり、離れていってしまうファンを見かけるたびに、「離れないで。今のKinKiを見て。」と。あなたが離れると、KinKiはKinKiでいられなくなってしまう。そんなファンが増えると、KinKi Kidsというグループの戦略の成功が、一転して失敗になってしまう。


私も、これからはKinKi Kidsの個性を見つめるのではなく、堂本光一堂本剛の個性をしっかりと見つめた上で、そこから生み出されるKinKi Kidsの魅力を十分に堪能していかなければ、と思う。これは簡単なように見えて、実は難しいのかもしれない。


ある一方がどうしてもダメな時には、もう一方を見つめ応援し、その視点からKinKi Kidsを見つめなければならないのだろう。ここで、KinKiから離れてしまう過程を辿っては、つらすぎる選択になる。


本来ならオンリーファンが当然の状況下で、「2人一緒が好き」を公言するのならば、大きな気概を持たないと自分がKinKiの重さに負けてしまうな、と感じた。



将来的にこの関係性のファンはKinKi Kidsにとって、マイナスの脅威になるだろう、そういう危惧をいつも私は持っている。だから、私も危険なファンの1人なのだろう。それでも、関係性のファンから脱却できないのだから、如何にそのファンとしてのスタンスを続けていくかの折り合いを見極めていかなければな、と思うのでした。


追記::::物議を醸した、剛さんの発言(夏)から。